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私は少年時代を盛岡の叔母の経営する格調高き料亭の帳場で酔夢の中に過ごしていた。 叔母は料亭の仕事とは関係なく、無名の画家たちの売れない絵を次々に買い取っていた。その中には私の目を釘付けにしてしまう絵が何点かあった。
だいぶ時がたって、私が絵を志すようになってから、少年の心を捉えて離さなかった絵が萬鉄五郎や松本竣介の作品だったことを知った。
今年の夏、花巻の萬鉄五郎記念館で「岩手県ゆかりの画家展」が開かれたので、帰京をかねてでかけた。
私のパリ時代、画家の前田常作や村上善男が私の財政支援のための個展を盛岡で開いてくれたことがある。
後で分かったことなのだが、個展の作品はすべて叔母が買いしめて、知り合いの誰彼に配ったそうである。なんとその中の数点が萬鉄五郎や松本竣介の作品と同じ壁面に陳列されていたのである。かかる機会はもう二度とないであろうと思われる。
記念に萬鉄五郎の「冬の少年」と題された絵はがきを買う。
その絵は少年時代の冬の私に似ていた。
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平賀敬さんが模写した萬鉄五郎の「冬の少年」/1997 美濃飄吾さん所蔵
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平賀敬美術館(箱根湯本)
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